Netflixオリジナル映画『ポルカ・キング』感想と評価 実話に基づくクライムコメディ

この『ポルカ・キング』は、実際に起きたポルカ歌手による投資詐欺事件を題材にしたドキュメンタリーを原作に製作されたとのことでございます。

作品情報

製作年:2017年 製作国:アメリカ 監督:マヤ・フォーブス 脚本:マヤ・フォーブス/ウォレス・ウォロダースキー 音楽:セオドア・シャピロ 出演:ジャック・ブラック/ジェニー・スレイト/ジェイソン・シュワルツマン/ジャッキー・ウィーヴァー/他 上映時間:94分

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あらすじ

ジャック・ブラック扮するポルカ歌手のヤン・ヴァレンはポーランドからアメリカへとやって来た移民でありまして、元々ポーランドで芸能活動をしていたんですが、当時のポーランドは共産主義マンセー!!のお国柄でありまして、それで本人が申すにはそういったトンチキなイデオロギーにまみれた祖国で、芸能活動を続けていくのに限界を感じたとのことで、西側諸国であるカナダへと渡ったとのことでございます。

本人の弁によりますと、カナダ時代は大変な苦労をされたようで、昼間はガススタやゴミ収集などの仕事をして夜はピアノラウンジで働き、いつかはスターになるのを夢見ていたそうです。

けれどもカナダでは芽が出ず、今度はアメリカはペンシルベニア州へと仕事を求めて旅立って行きました。

ペンシルベニアはポーランドなど東欧からの移民が多く暮らしている地域でありますから、そこへ行けばなんとかなると思ったのでしょう。

そしてポルカバンドを結成しましたところ、たちまちのうちに東欧移民の、特に高齢者たちの間で人気者になったとのことでございます。

ただし人気者になったと申しましても、所詮はローカル人気でございますからたかが知れているわけで、あまりお金にはならなかったようです。

ヤン・レヴァンはバンドを抱えてバンドメンバーに給料を支払わなければなりませんが、儲けが少ないのでお金がありません。

そこで考えたのが自分のファン相手に投資を募ることにしたのです。

ヤン・レヴァンにお金を投資すると12%の利子を付けると言って約束手形を発行しました。

こんな12%の利子が付くなどの旨い話があるわけないのですが、ファンの大半は高齢者で、しかも熱狂的なヤン・レヴァンのファンでありますから、簡単に信用して投資してしまうんですね。

そしてある日の事、証券取引協会という所からヤン・レヴァンの元へ一人の男性がやって参りまして、「その投資は違法だ」との指摘を致します。

そして、「集めたお金を3日以内に全額返金しなさい」と命じられるのですが、ヤン・レヴァンは集めたお金で手広く事業などを始めたりしたものですから、手元に返金できるお金なんかありません。

さあ、困ったヤン・レヴァン、この危機をどう乗り越える?

『ポルカ・キング』の感想と評価

この映画の原作となるドキュメンタリー『ポルカ・キング栄光と没落の物語』(これもNetflixで配信されています。)でヤン・レヴァン本人が出演していますが、根っからの悪人というわけでなく、見栄と気の弱さから犯罪に手を染めたら、辞められなくなったという感じですね。

詐欺で得たお金で、郷土料理事業とか1万ドルの寄付なんかしたなどは、見栄からきてるもので、挙句の果てにはファン相手にローマ法王に会える見込みなんかない段階で、「ローマ法王に会いに行こう!」のような無茶なヨーロッパ旅行を企画して、金に物を言わせて(もちろんファンには内緒)実際にローマ法王に謁見するといったことも成し遂げてしまう。

肝心の音楽活動のほうはグラミー賞にノミネートされたりと、順調には行っていたんですが、そこへ暗雲が立ち込める出来事がございます。

その原因を作ったのが女房のマーラで、この人がまたヤン・レヴァン以上に見栄っぱりな人で、ヤン・レヴァンの女房として陰に隠れているのが不満で、ミセス・ペンシルベニアの出場を決意するんですねぇ。

それで見事ミセス・ペンシルベニアで優勝致しまして、栄冠を手に入れるわけなんですが、しかしどうやらそれに関して何者かによる不正があったようで、当時はその事がニュースでも報じられ、夫がカネにモノを言わせたんじゃないかとヤン・レヴァンにその疑惑の目がむけられたりもしたんですが、その事件については結局のところハッキリしたことがわからずじまい。

ただ、この事件がきっかけとなって、みんなヤン・レヴァンの本性を疑い始めてしまったんです。

ここから転落人生が始まって、投資詐欺で逮捕、収監され、刑務所内では同室の男に首を刺され瀕死の重傷を負わされたりと、とにかくヤン・レヴァンの人生は酸いも甘いも、いろいろとあり過ぎて面白い。

けど、こんな面白い人生なのに、わざわざコメディ路線で映画化する必要はなかったじゃないでしょうか?

ヤン・レヴァンのバンドメンバーで古くから付き合いのあるミッキー(ジェイソン・シュワルツマン)とマーラの実母がデキていたなんて創作エピソードは、明らかに蛇足だったように思います。

それでもNetflixにしちゃあ、珍しく上出来の部類の映画ではありましたけれども。

個人的評価

この映画の評価は☆☆☆

巨匠
巨匠

ヤン・レヴァンは現在は出所して、またポルカ歌手として活動しているらしいよ。


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