Netflixオリジナルアニメ映画『紅き大魚の伝説』の感想と評価

作品情報

製作国:中国 製作年:2016年 監督:リャン・シュエン/チャン・チュン 脚本:リャン・シュエン 音楽:吉田潔 上映時間:105分

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『紅き大魚の伝説』のあらすじと感想と評価

本作は中国産アニメというわけなんですが、音楽に関しては吉田潔さんという日本人の方が担当されています。

吉田潔さんは細田守監督の『時をかける少女』の音楽やNHKスペシャル『日本人 はるかな旅』のテーマ曲などを手掛けたりしているので、吉田潔さんの曲を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

ちなみに本作であります、『紅き大魚の伝説』は元々は2004年にFLASHアニメとして製作されたものを劇場用に長編アニメとして作り直したものなんですが、FLASHアニメ時代から吉田潔さんの名前がクレジットされておりまして、それでこの時に使われている曲がNHKスペシャル『日本人 はるかな旅』のテーマ曲をそのまま使っているのですが、恐らくこの時は勝手に使っちゃってたんじゃないかなと思われます。

それでこの『紅き大魚の伝説』は2016年に中国で劇場公開され、大ヒットしたアニメ映画なんですが、FLASHアニメ版の時と比べると、劇場用バージョンは特に主人公の女の子の顔とかモロに宮崎駿タッチになっていたり、赤い面を付けたような大量のネズミの存在はまるで『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』に出てくる「ススワタリ」のようで、宮崎アニメをかなり意識した仕上がりとなっております。

中国の人から見ても、それは感じるものがあるらしく、なんか『千と千尋の神隠し』に似てね?みたいなことを指摘している中国のメディアもありました。

しかし、物語自体は実に中国らしいお話だなあとは思いました。

あらすじは主人公の女の子「チュン」は海底にある桃源郷世界の住人。

この桃源郷世界の住民たちはチュンを含めてみんな『NARUTO』の忍術みたいな力を使えます。

おそらく仙人の類なんじゃないでしょうか。

で、桃源郷世界では成年の歳に達すると成年式ってのがあって、七日間人間の世界を観察しに行かなければならない。しかし、その7日の間に人間とは接触してはならないという掟があります。

チュンは桃源郷世界では人の姿をしているのですが、人間界に行くために紅いイルカに変身して海を泳いで人間界に辿り着きます。

チュンは人間界では紅いイルカの姿のまま、海から人間界を観察していたのですが、人間界に来てから7日目にチュンは海に仕掛けられた網に引っ掛かってしまいます。

チュンがもがけばもがくほど網はチュンを絡めとり、チュンは身動きが取れなくなってしまいました。

その様子を見ていた人間の青年がおりまして、網に引っ掛かっているチュンを助けるのですが、チュンを助けた後成年は渦に飲み込まれお亡くなりになられました。

桃源郷世界に戻ってからもチュンは、自分のせいで人間の青年を死なせてしまったことを気に病み、「どうにかならないものかしら?」てな感じで魂を司っている変な人に頼んで、自分の寿命と引き換えに人間の青年の魂を蘇らせるといった自然の摂理に反する行動をしてしまう。

そういうわけで人間の青年はの魂は、とりあえず小さなイルカとして蘇ったわけなのですが、これが元で桃源郷世界に大きな災いが降りかかってしまうといったお話でございます。

チュンが桃源郷世界の掟よりも、命を助けられたから命を返すといった自分の義を重んじ、周りに迷惑がかかるのを承知で己の義を実践する様は、まるで『三國志演義』や『水滸伝』の登場する英雄豪傑たちのようです。

そういった意味では『紅き大魚の伝説』は中国的な英雄像を描いた作品であるとも言えます。

『紅き大魚の伝説』が中国国内で大ヒットしたのも、人々の間に古くからある「義」というものの共有があり、「義」を作品に反映させたからこそ多くの人たちに指示を受けたのではないでしょうか。

個人的評価

巨匠
巨匠

この映画の評価は☆☆☆

本作は正直アニメーションとしては拙い部分もあるんだけど、中国アニメの今後に期待出来る物は大いに感じるよ。


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