ウォン・カーウァイ風な映画『ムーンライト』感想と評価

ムーンライト(字幕版)

作品情報

製作年:2016年 製作国:アメリカ 監督:バリー・ジェンキンズ 脚本:バリー・ジェンキンズ 音楽:ニコラス・ブリテル 出演:トレヴァン・ローズ/アシュトン・サンダーズ/アレックス・ヒバート/アンドレ・ホランド/ジャネール・モネイ 他 上映時間:111分

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あらすじ

マイアミの貧困地域。内気な少年シャロンはいじめっ子たちに追われ、隠れているところを麻薬ディーラーのフアンに見つかる。フアンはシャロンを自宅へと連れて帰り、妻と共にシャロンと夕食を共にする。シャロンはこれをきっかけにフアン夫妻に心を開いていく。

『ムーンライト』の感想と評価

この映画はウォン・カーウァイの映画の影響をかなり強く受けていると思います。

映画の中での光の使い方はもちろんのこと、LGBTの設定だって「ブエノスアイレス」を意識したんじゃないですかね。いくつかのシーンで似たようなところもあったし。

それでこの「ムーンライト」は3部構成になっております。

最初の章が主人公シャロンの少年時代にスポットを当てています。

最初の章ではコミュニティの描写にけっこうな時間を割いていて、麻薬の売人とその客とのやりとりから物語が始まります。

この地域ではドラッグを気軽に買えてしまいます。シャロンの母親も麻薬中毒者です。

まず最初にシャロンがどんだけ劣悪な環境で生活しているのかというのを観客に提示したかったんだと思います。

ただ正直に申し上げますと、上映開始20分ぐらいまではどういった内容なのか話がうまく飲み込めませんでした。

2章目はティーンエージャーになったシャロン。主に学校での同級生や友達との関係を描写しています。シャロンは子供の時から学校でいじめられていて、唯一友達のケヴィンだけが心の拠り所でした。

ある夜、月明かりの照らすビーチでシャロンとケヴィンは語り合います。

すると突然二人は愛し合います。

え!?二人ってそういう間柄だったの?

あまりにも急な展開に私は戸惑いを覚えました。

今まで二人との間に恋愛的な雰囲気を示唆する描写はありませんでした。

翌日、学校でシャロンのことをいつもいじめているテレルとかいうクソガキがケヴィンに対してシャロンを殴るよう命令します。ケヴィンは嫌々ながらこれに従い、シャロンを殴ります。

シャロンはテレルや他の同級生からもボコボコにされます。

そして翌日、シャロンは突然テレルに対して椅子で殴りつけ、ボコボコにします。警察が駆け付け事態となり、シャロンは連行されていきます。

最終章では少年院を出所したシャロンが麻薬の売人として立派に成長しております。ティーンのときにヒョロかった体格も随分とゴツい体格になりました。

ある夜、ケヴィンからシャロンの元に電話がかかってきます。ケヴィンとはティーンの時以来、会っていません。電話での用件はシャロンにあの日のことを直接会って謝罪したいとのことでした。

シャロンとケヴィンは再開を果たし、和解します。そして二人はあの時ような雰囲気となって物語は終わります。

この映画にとってLGBTの恋愛がオマケとまで言いませんが、雰囲気の良さだけの恋愛描写でちょっと強引でもあります。

いろいろと惜しい映画だと思いますが、やはりウォン・カーウァイ映画の雰囲気だけを借りてきた印象は否めません。

個人的評価

巨匠
巨匠

この映画の評価は☆☆☆

僕がウォン・カーウァイの映画で一番好きなのはやっぱり「花様年華」だね。


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