映画『詩季織々』感想と評価 80年代的な日本を彷彿させるアニメ

作品情報

製作年:2018年 製作国:日本 総監督:リ・ハオリン 監督:イシャオシン/竹内良貴/リ・ハオリン 原案:イシャオシン 声の出演:坂泰斗/伊瀬茉莉也/寿美奈子/白石晴香/安元洋貴/大塚剛央/長谷川育美/他 上映時間:74分

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あらすじ

北京で暮らすシャオミンは湖南省のビーフンと祖母に想いを馳せる。

広州でフッションモデルをしているイリンは妹ルルのために気丈に振舞ってきたが・・・・・・

上海に暮らすリモはテープをきっかけにシャオユの事を思い出す。

『詩季織々』の感想と評価

衣・食・住をテーマにした3編からなるオムニバス作品であります。

まあ物語の順番的には食・衣・住になっていますが。

コミックス・ウェーブ・フィルムで製作されただけあって、どれも新海誠っぽいとも思うのですが、最初のエピソードである「陽だまりの朝食」は、新海誠作品というよりも、80年代に深夜アニメで放送されておりました、わたせせいぞうの『ハートカクテル』にそっくりだと感じましたね。

絵柄こそわたせせいぞうの描くモノとは違いますが、登場人物の会話が極端に少なく、ほとんどがモノローグと耳に心地良い音楽との構成は、まんま『ハートカクテル』です。

個人的にはこのエピソードが一番良かった。

2話目の「小さなフッションショー」も『ハートカクテル』のエピソードにありそうなお話です。

ただ、衣をテーマにフッション業界の模様を描いているのですが、わたせせいぞうの様な洗練されたオシャレ感がありません。

単にフッションを記号としてしか捉えてないのが残念。

3話目の「上海恋」は「秒速5センチメートル」ですね。

公式サイトに「秒速5センチメートル」のオマージュ作と書いてありましたが、もうちょっとオリジナル要素が欲しかったかな。

アニメとしての出来は悪くはないんですが、個人的には一番面白くないエピソードだと思いましたねえ。

最初に『詩季織々』は衣食住がテーマだと書きましたが、本質的なテーマは急激に都市化していく中国の都会に住む人達の喪失感を描いていると思われます。

3つのエピソード全てに言えることなのですが、80年代の日本のような雰囲気を感じましたね。

この雰囲気というのが、やはり中国は経済的に豊かにはなったけど、(都市限定ではありますが)心は決して満たされることはないってのが、80年代の日本の置かれていた状況と現在の中国が置かれている状況が酷似しているせいなのかもしれません。

『詩季織々』は評判があまり良くないみたいですが、個人的には『ハートカクテル』のようなアニメをこの時代に観れただけでも大変満足でした。

個人的評価

巨匠
巨匠

この映画の評価は☆☆☆

ビーフンが美味しそうだった。


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